作家別作品集
浅田次郎


略歴

1951年12月13日-)は、日本の小説家。東京都生まれ。

本名、岩戸康次郎(いわと こうじろう)。駒場東邦中学校、中央大学杉並高等学校卒。

自衛隊員、アパレル業界など様々な職につきながら投稿生活を続け、1991年、『とられてたまるか!』でデビュー。

当初の作品傾向から悪漢小説を中心とした作家としての認知が先行したが、
1995年に『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞を受賞した後は、
清朝末期の宮廷を舞台に宦官を主人公として時代を活写した大作『蒼穹の昴』が1996年に直木賞の候補作となり、
さらに翌年『鉄道員』にて直木賞を受賞するなど、作品の範囲は劇的な展開を見せる。
(wikipediaより)


椿山課長の七日間 ☆☆☆
働き盛りの46歳で突然死した椿山和昭は、家族に別れを告げるために、美女の肉体を借りて七日間だけ“現世”に舞い戻った!親子の絆、捧げ尽くす無償の愛、人と人との縁など、「死後の世界」を涙と笑いで描いて、朝日新聞夕刊連載中から大反響を呼んだ
まあまあ面白かった。映画は西田敏行らしい。彼をイメージしながら読むとぴったりだわ。
姫椿 ☆☆
飼い猫が死んでしまったOL、経営に行き詰まり、死に場所を探す社長、三十年前に別れた恋人への絶ち難い思いを心に秘めた男、妻に先立たれ、思い出の競馬場に通う大学助教授…。全八篇の短篇集。
まあまあでした。
壬生義士伝 ☆☆☆ 小雪の舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、満身創痍の侍がたどり着いた。貧しさから南部藩を脱藩し、壬生浪と呼ばれた新選組に入隊した吉村貫一郎である。“人斬り貫一”と恐れられ、妻子への仕送りのため守銭奴と蔑まれつつ、飢えた者には握り飯を施す男(出版社からの内容紹介より)
。映画も見たが原作ははるかに面白い。もと新撰組隊士や南部藩での教え子が彼の姿を語ることで、人物像が浮き彫りにされていく。それは究極の貧しさの中で妻を愛し、子を愛し、義のために戦う心ある武士の姿だ。それぞれの語り口は南部弁あり、江戸弁あり、浅田次郎の構成の確かさ、面白さは圧巻だった。

地下鉄(メトロ)に乗って ☆☆☆
父とその息子はある時期から絶縁状態だった。父の危篤に知らせにも溶けない心。そんな息子がある日地下鉄永田町駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景だった。ワンマンな父に反発し自殺した兄、さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された"過去"に行った息子は…。(出版社の内容紹介より)吉川英治文学新人賞。

月のしずく ☆☆☆


短編集、収録作品は「月のしずく」「聖夜の肖像」「銀色の雨」「琉璃想」「花や今宵」「ふくちゃんのジャック・ナイフ」「ピエタ」とにかくうまい、一気に読ませる。しみじみと心に残る。
私が特に好きなのは「聖夜の肖像」「銀色の雨」「ピエタ」古本屋で見つけたらぜひ購入を。


プリズンホテル(春) ☆☆☆
極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。たった一人の身内で、ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになったというのだ。招待されたそのホテルはなんと任侠団体専用。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ―。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家…不思議な宿につどう奇妙な人々がくりひろげる、笑いと涙のスペシャル・ツアー。(出版社の内容紹介より)

歩兵の本領 ☆☆☆
名誉も誇りもない、そして戦闘を前提としていない、世界一奇妙な軍隊・自衛隊。世間が高度成長で浮かれ、就職の心配などない今の時代に、志願して自衛官になった若者たちを描く。(出版社/著者の内容紹介から)
著者自らの体験から綴っているからだろうか。浅田次郎独特の軽やかさがない。普段目にすることのない自衛隊の内部を覗いたという意味では面白かった。

王妃の館 ☆☆☆
ルイ十四世が寵姫のために建てたという「王妃の館」は今ではパリの超高級ホテルだ。この館にダブルブッキングされた日本人ツアーが泊まることになる。倒産寸前の旅行代理店の策略は成功するのか・・・。プリズンホテル系の笑いと涙の海外ツアー。


日輪の遺産 ☆☆☆
終戦直前、帝国陸軍がマッカーサーから奪った時価二百兆円に上る財宝が極秘裏に隠匿された。それは、日本が敗戦から立ちあがるための資金となるはずだった。そして五十年後、一人の老人が遺した手帳がその真相を明らかにしようとしていた―。(出版社/著者の内容紹介から)
終戦時の勤労動員の女生徒たち、密命を帯びた軍人など、財宝に関わり、それを守るために生き、死んでいった人々の姿を描く。面白かったけどね。

蒼穹の昴(1〜4)。 ☆☆☆
中国清朝末期、貧しい生活をしていた春児(チュンル)。
父親、長兄は早死にし、次兄は病気、三男は行方知れず、疲れきった母と妹を抱えて、燃料になる糞拾いをし、懸命に生きていた彼は、ある日「なんじは昴を守護星とし、必ずや西太后の財宝を手中におさめるであろう」という予言をきいた。
優秀な宦官となり西太后の側近となった春児と、幼馴染の改革派の俊英・文秀(ウェンシウ)は、時代の激流に飲み込まれる。西太后、勇将・李鴻章(リイホンチャン)、ヴェネツィア出身の宣教師カスチリョーネなど、当時の列強に脅かされる落日の清国の状況がわかる。
おもしろいが、軽い。西太后の描き方がいまひとつかな。